経験値による信頼感の差

今二人の営業マン(リフォーム会社)と話をしている。

一人は、50代前後。業界ではベテランの領域で、トークも手馴れた感じ。あとバブル時代を彷彿させるダブルのスーツをまとっている。 

もう一人は、40代前後。転職組のため、リフォーム業界一年半。ものすごく腰が低い。言葉遣いも丁寧。

※ベテランと新人、以降書いていきます。

当初、新人の印象がよかった。見積もりも詳細に明記し、非常に丁寧に仕事をしている感じ。しかし、僕は気になっていた。経験が浅すぎるので、頭の中の引き出しが少ない。○○なら、○○出来ると思いますよという説明が、本当かどうなのか信じることができない。

本日、ベテラン登場。のらりくらりとしているが、経験値からのプチアドバイスが随所にちりばめられていて、安心感がやはり違った。
ここまでの提案は新人と似たりよったり。しかし最後に、サプライズ提案。今回の見積もりには、含まれていないであろうと思っていたところまで、見積もりに含まれていたという心憎い演出。
素晴らしい。油断しているところに、ウォンツを刺激する提案をしてくるとは。

今日覚えたこと。見積もり時にはある程度余裕を持って提示する。そしてその余裕がある中で、プチサプライズをどんどん提案していく。

【主流になるであろう新しいマーケティング】ロングエンゲージメント なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのか(著者:京井良彦)



【読んでみた感想】
職業柄、過去最高の付箋の数になりました。。。恐るべし佐藤尚之氏推薦本。
中身としては、非常に読みやすい構成になってましたよー。
著者オリジナルの概念について綴っている本にしては、大変理解しやすかったです。私自身、新しい概念を提示する本とか、○○業界の将来を語る本などは苦手なのですが、こちらは面白かったです。。

これから生活者(※ここでは、消費者=生活者と表現)とコミュニケーションを図っていく上では、「共感」がテーマになるそうです。生活者に「共感」してもらえれば、“「共感」している=価値観が近い”ということですので、そうなれば当然長いお付き合いになってきますよね。企業が、生活者と同じ価値観でつながっている、企業が恋人や友達の領域に入ってくるイメージです。その領域に企業がなぜ入れるのか、それを実現させたのがソーシャルメディアFacebookTwitterなど)の存在なんですって。

ソーシャルメディア関係の本は今まで抵抗を感じておりましたが、論理的かつシンプルに書かれている文章のため、サラッと読めました。さとなおさんの「明日の広告」も読みやすかったし、広告の最先端をいく人は、しっかり読者(=生活者)目線を考えて、「共感」を意識して執筆しているだろうな・・・、と感じた次第です。

今後、広告がどういう方向に進んでいくのか、皆さん要チェックですよ。


【ピックアップ】
●生活者は、膨大な情報の中から「何が自分にとっての情報なのか」を選択する必要が出てきました。つまり「情報」は届けられるものから、それぞれが価値観に合わせて選ぶものになったのです。

●変化した生活者は、もうターゲットではなく、長く付き合っていくパートナーとして捉える必要があります。

●広告コミュニケーションは、「アテンションの獲得」から「共感の獲得」へと発想を転換していく必要が出てきています。

●広告には「どのようにすれば企業のメッセージを生活者に伝えられるか」というアイデアが必要。

●クリエイティビティを「目立つ」というアテンション獲得だけに振り向けてしまうと、クリエイティブが本来果たすべき「伝える」ということが忘れてしまうかもしれません。

●「共感」によって人が動くようになっているのであれば、共感獲得のためにクリエイティビティを発揮するという方向転換が必要になってくるでしょう。

●広告会社としてのグーグルでは、広告にクリエイティビティを求めていません。「広告に表現は必要ない。広告は情報だ」と言っています。

●インターネットのソーシャル化には、2つの流れがあります。ひとつは「協業型」。文書やスケジュールなどオンライン上で共有することや、グループソフトウェアやクラウドなどを利用し顧客管理等を行うことなど。(例:ウィキペディアなど)
もうひとつは「表現型」で、ブログやツイッターなど。
人間はそもそも他の人間と交流を求める動物です。金銭的価値や求愛という物理的な利潤を追求するためだけにコミュニケーションをするのではなく、コミュニケーションそのものを目的としてコミュニケーションを行います。

●哲学者のアリストテレスは、「人間は本性からしてソーシャル・アニマル(社会的動物)である」

●これまでのマーケティングは、「人間は経済合理性に基づいて行動する」ことが基盤になっていました。たとえば、生活者は高い商品と安い商品があれば安い商品を選択するという前提になっています。また、人は無償では動かないと考えられています。
しかし、ソーシャルメディアの浸透は、人間が本来のソーシャル・アニマルとして行動しやすい環境を整えました。人間が合理性だけではなく、社会性にも基づいて行動していくとなると、マーケティングの考え方を変えていかなければうまくいかなくなるでしょう。

●グーグルは、「ページランク」というウェブサイトの価値をそのサイトページがリンクされている数によってランク付けし、このルールによって機械的にインターネット世界を整理していくというシステムを採用しています。これに対しFacebookは、「人物相関」という人間の価値観によってインターネットを再整理していこうとしています。そしてそれは、インターネット世界と現実世界の境をなくしていく方向に向かっているということにほかなりません。

ソーシャルメディアの普及によって、震源地から一次情報を発信することができるようになっています。

●情報発信側がいくら“スクープ”と叫んだとしても、その情報がスクープかどうかは、受けて側が他の情報と比較して自分の価値観で判断することになります。その判断基準になるのが、「共感」です。

●政府や企業も僕たち生活者と同じく「対等の立場」でつながりを持つことになりました。

●広告を情報として受け止めてもらうためには、その広告がいかに「RT」や「いいね!」をしてもらえるような共感の要素を持っているか、それが重要になってくるのです。

●同じ生態系上で、価値観でつながった企業が、コミュニティの一員として対等の立場で生活者とコミュニケーションをとっていくのですから、自然と共感が生まれやすくなります。企業が、活動もまた、生まれやすくなってきます。昨今、広告コミュニケーションで社会貢献をテーマとした活動が増えているのも、このような背景からではないでしょうか。
そして企業も生活者も、せっかく築かれた生態系上の良好な関係を、長く維持していこうという考えが出てくるのでしょう。

●同じ機能と同じ価格と同じ品質の商品があったら、生活者は何を頼りに選ぶでしょう。こういう状況の時、生活者としての僕は、フィーリングや美しさなどの要件が自分の価値観に合うかどうか、「共感」によって商品を選びます。

●「共感」は何がきっかけで生まれるのか。それは「コンセプト(全体像)」「ストーリー(物語)」「デザイン」の3つです。

●欧米企業は日本企業に比べ、生活者のマインドの中に、明確なコンセプトを伝えるいるように思ったからです。企業のブランドストーリーとでも言うべき大きな背景や文脈がハッキリと築かれていて、生活者はそのコンセプトに共感していると。

●デザインをソリューションと捉えているということでしょう。デザインを生み出すとうことは、対策をきちんと整理して、ものごとの本質を導き出して形にするということです。

●「橋をデザインするときに、橋をデザインしてくださいというふうな頼み方はしないでほしい」ということです。デザインとは、川を渡る方法論です。川を渡るためには渡し船がいるのか、あるいは穴を掘って海底トンネルにするのがいいのか。それともブリッジがいいのか。景観的に美しくなるとか、様々な角度から川を渡る手法を考える、それがデザインなんです。

●人は何らかのデザインを目にした時、それが何を解決しているのかを、そのメッセージや魅力、信頼性において瞬時に判断し、直感的に共感を持つということなのです。

●生活者の欲求は、人間の一番深いところにある「社会」や「環境」、「公平さ」や「正義」などに対する意識に向かっているのです。

●これまでのマーケティングは、生活者が経済合理性、つまり損得勘定に基づいて論理的な行動を選択するという前提に立って構築されてきました。そこには、ターゲットとしての生活者は、アプローチに対して受動的であるということが前提になっています。しかし、今やそれだけでは、生活者とのコミュニケーションを成立させることは難しいでしょう。豊かな世の中において生活者は、「社会をより良くすること」を新しいモチベーションとして行動しています。これからは生活者を、人格を持った人間として捉えてアプローチしていく必要があるのです。

●これからの広告コミュニケーションは、共感の獲得と共に、生活者の「生きがい」や「やりがい」を尊重し、何が人々を自発的に行動させるモチベーションとなっているのかを理解して展開する必要があるのです。

●共感や生きがい、やりがいなどがモチベーションとなってきたのは、情報テクノロジーの発達が、僕たち生活者に人間らしさを取り戻させてくれた結果なのです。

●コンセプトやストーリー、デザインをきっかけとする共感に基づくコミュニケーションは、生活者に企業の人格を見てもらい、その奥にある企業哲学に対する理解を求めていくという活動です。企業が存在する限り、長期にわたって生活者との信頼関係を構築していくサスティナブルな(持続可能な)活動ということになります。

●従来のマーケティングは「いかに伝え」、「いかに理解してもらい」、「いかに買ってもらうか」という企業本位の発想で、広告の大量出稿によるアテンション獲得にこだわってきました。これに対し、エンゲージメント・マーケティングは、「いかに商品やブランドに愛着を持ってもらうか」という生活者本位の発想で、商品やブランドと生活者との間にあ