【本物のマーケター!】USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?(著者:森岡毅)


マーケティングは実体験から学ぶべし




【読んでみた感想】
今、話題のUSJさん。今関西で一番元気の良い会社が、USJさんではないでしょうか?今年お目見えしたハリーポッターを目的に、連日多くの人で賑わっています。
2001年に鳴り物入りでオープンした当時には、来場者数は年間1,000万人を超えましたが、年々減少し、700万人台前半まで落ち込みました。それが今や1000万人以上の来場者数。これぞ“V字”回復。すごいですよね。
年間で300万人も集客が増えたということですが、驚くべき数字です…。



そのV字回復の立役者が、著者である森岡毅さんです。役職はCMO。マーケティングのトップです。
前職は外資系メーカー(P社)で日用品のマーケティングをされていた方でして、いわゆるマーケティングのプロです。
その著者が、集客に苦しんでいたUSJ(マーケティングのプロを探していた)にキャリアチェンジし、来場者数1,000万人という目標に向って、マーケティングの経験を生かしたアイデアを生み出し、社内を説得し実行していくまでのプロセスが書かれた内容となっております。



こちらの本を読んだのは1年前ですが、最近著者がメディア等に取り上げられるようになったので、改めて本を読み直しブログに残そうと思いました。



私はマーケティングが大好きで、この手の本は手当たり次第読んでいますが、結構どの本も、内容は違えど言いたいことは同じ、原理原則は同じという感じでしたので、私の中で最近の新刊は興味のない対象でした。
でもこちらの本は違いました。全然違います。最初から最後まで一気に読んでしまいました。



まず驚いたのが著者の決断力。売上800億円の会社が、ハリーポッターに450億円投資したという点です。普通なら考えられないですよね。売上げの半分を投資とは…、リスク半端ないです。著者の、この投資は“イケル”という算段のもとになる分析力、洞察力、胆力に感心しました。



そして、ハリーポッターが完成するまでの3年間は、多額の投資の結果、集客にかける予算がほとんどない状態でした。ただ事業はその3年間も成長させなければいけませんので、集客を増やし利益を残すことが必要でした。そのために、数々のアイデアを練り実践する著者に感銘を受けました。アイデア自体凄いし、アイデアを導くまでの著者の努力、数字による分析力、行動力etc...、大いに心揺さぶられました。 



イデアの内容自体は、本書を読んでいただければと思います。インパクトのあるタイトル「ジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」の答えも、本書にてお楽しみください。素晴らしいアイデアでした。
最近、著者がなぜ注目されているのかといいますと、著者がクリエイターでアイデアを次々に生みだす天才とは真逆の人間だという点です。クリエイティブな左脳人間でない人が、どうやってアイデアをだして、ここまでのV字回復ができたのか。。。本書の肝になる部分です。
TV等でご存知の方もいるかと思いますが、本書の後半に、アイデアの生み出し方が体系的に書かれております。私自身も、本業にて実行中です。


今回肝になる部分とは別で、サラッと書かれている下記文章が印象に残りました。
「消費者とのズレを正すことは、マーケティングの根幹の使命です」
マーケティングは実戦でのみ鍛えられる実践学だと考えています。本からの理論だけが先行するマーケターは、差別化という美しい戦術に憧れて溺れることがあります」
たぶん枝葉的な文章の一つですが、腹に落ち反省させられた次第です。マーケティングはシンプル、企業が思っていることと、消費者が思っていることを一致させるということ。シンプルですけど、難しいことですよね。私も仕事柄、多くの企業様と接する機会がありますが、消費者視点でマーケティングをしている企業様はほとんどないですね。永遠のテーマです。


最後に、マーケティングのプロである著者が、経験から導き出したであろう下記内容が印象に残りました。
「いつも思うのですが、コロンブスの卵のようなアイデアは、後で考えてみると「なぜもっと早く思いつかなかったのだろう」と思うような、一見して簡単で何でもないようなことが多いのです」エンターテイメントという厳しい環境で戦い続ける著者。アイデアで勝ち続けるプロのマーケッターの実体験を1400円(税別)で学べるなんて、本って何て素晴らしいだろうと、改めて思わせてもらった1冊でした。


超オススメの一冊です!